共有持分・共有名義の不動産を売る手順|自分の持分だけ売る方法・全員で売る方法・専門買取業者2社の条件
親から相続した実家を兄弟で共有している、離婚した元配偶者と名義が半分ずつのまま、共有者と連絡が取れない。共有名義の不動産は、共有者全員の足並みが揃わないと家そのものを売れません。この記事では、民法の共有の枠組み、手放す3つの方法、自分の持分だけを売る手順、相談前に確認する対象外の条件、共有持分の買取に対応する専門業者2社の条件を、条文と各社公式ページの記載に沿って整理します。
この記事で分かること
- 民法の共有の規定で、共有者ひとりで決められること・全員の同意が要ること
- 家ごと売る/持分だけ売る/共有者に買ってもらう、3つの方法の違い
- 持分だけを売る5つの手順と、査定申込の前に確認する対象外の条件
共有持分・共有名義とは何か(民法の枠組み)
ひとつの不動産を複数人がそれぞれの割合(持分)で所有している状態です。各共有者は持分に応じて全体を使えますが、家そのものを売るような変更・処分には共有者全員の同意が必要です。
登記簿の所有者欄に「持分2分の1 A、持分2分の1 B」のように複数の名義人が載っている不動産が共有名義で、その割合が共有持分です。遺産分割協議がまとまらないまま法定相続分で登記した実家や、夫婦のペアローンで生じます。売却に関わる民法(第249条以下)の要点は次のとおりです。
- 持分は登記どおり。 定めがなければ等しいと推定され(第250条)、使用も費用負担も持分に応じます(第249条・第253条)。
- 管理は持分価格の過半数、変更・処分は全員の同意。 短期の賃貸などは過半数で決められますが(第252条)、大きな変更には全員の同意が要り(第251条)、家そのものの売却も同様に扱われています。
- 自分の持分だけなら単独で処分できる。 民法に持分の譲渡を制限する規定はなく、他の共有者の同意なしに売れるのが原則です。専門業者の「持分の買取」はこの原則が前提です。
- 分割はいつでも請求できる。 協議が調わなければ裁判所に求められ(第256条・第258条)、現物分割、代償金による取得、競売のいずれかが命じられます。遺産分割が済んでいない相続不動産は原則として遺産分割が優先されます(第258条の2)。
- 共有者の所在が分からない場合。 2023年4月施行の改正で、所在等不明共有者の持分を裁判所の裁判により取得・譲渡できる制度ができました(第262条の2・第262条の3)。
共有名義の不動産を手放す方法は3つある
共有者全員の同意を取って家ごと売る、自分の持分だけを専門買取業者に売る、他の共有者に持分を買い取ってもらう(協議が調わなければ共有物分割を請求する)の3つです。
| 方法 | 必要な同意 | 価格の傾向 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 共有者全員の同意で家ごと売る | 共有者全員 | 持分だけを売るより高くなるのが一般的。売却代金は持分割合で分ける | 共有者全員が売却に賛成し、連絡が取れる |
| 自分の持分だけを専門買取業者に売る | 不要(自分の持分は単独で譲渡できるのが原則) | 全体の市場価格に持分割合を掛けた額より低くなるのが一般的 | 話し合いが進まない、連絡が取れない、関係を断ちたい |
| 他の共有者に持分を買い取ってもらう/共有物分割を請求する | 相手の合意(協議が調わなければ裁判所に分割を請求できる) | 協議次第。裁判では現物分割・賠償分割・競売のいずれかが命じられる | 共有者側に買い取る意思と資金がある、または裁判を含めて解決したい |
家ごと売れるなら金額の面でいちばん有利になりやすく、契約には共有者全員の署名・実印・印鑑証明書が必要です(業者の比較は「訳あり物件の買取業者を比べる」)。話し合いが進まない、連絡が取れない、関係を断ちたいときは、自分の持分だけを売る方法になります。持分だけを買う一般の買主はほとんどいないため、売り先は共有持分を扱う専門業者です。共有者側に買い取る意思と資金があれば専門業者より高い金額でまとまることがあり、協議が調わなければ裁判所に分割を請求できますが(第258条)、時間と費用がかかるため弁護士に相談してから進めてください。ワケガイは、持分の売却以外に「専門家が間に入って協議して解決することも可能(別途費用がかかる場合あり)」と公式FAQに記載しています。
自分の持分だけを売るにはどう進めればよいのか(5つの手順)
登記事項証明書で持分と共有者を確かめ、相続登記が未了なら先に済ませ、複数の専門業者に同じ情報で査定を申し込み、査定額の根拠と売却後の共有者対応を確認してから契約・決済・持分移転登記に進みます。
- 登記事項証明書で持分と共有者を確認する: 法務局(またはオンライン)で誰でも取得でき、持分割合、共有者の氏名・住所、抵当権の有無が分かります。ワケガイは「住所または地番が分かれば同社で調査する」と記載しているので、書類がなくても相談はできます。
- 相続登記が未了なら先に進める: 亡くなった親の名義のままでは引き渡しができません。相続登記は2024年4月から義務化されています(「相続した空き家・遠方の実家を処分する」参照)。ワケガイは「登記完了を前提に先に契約でき、引き渡しは登記完了後」と記載しています。
- 複数の専門業者に同じ情報で査定を申し込む: 所在地、持分割合、共有者との関係と連絡の可否、居住者の有無、ローン残債、紛争や裁判の有無を揃えて伝えると比べやすくなります。
- 査定額の根拠と、売却後の共有者対応を聞く: 全体の想定価格と持分割合、協議・再販の費用がどう反映されているか、売却後に他の共有者へどう連絡するかを確認します。
- 売買契約・決済・持分移転登記: 契約不適合責任の免責条項、印紙代や登記費用の負担区分、決済日を契約書で確認し、決済と同時に持分移転登記を申請して完了です。
相談前に確認したいこと(対象外になりやすいケース)
農地・山林など宅地に使えない土地、評価額が低い物件、共有者と同居しているケースは、査定や紹介の対象外になりやすい条件です。先に確認しておくと、申し込んでから断られる手戻りを避けられます。
ワケガイの公式ページに明記されている取扱不可の条件と、広告主が本サイトに示している紹介条件(2026-09-25時点)で対象外とされているケースを正直に載せておきます。該当する場合は、査定フォームより先に電話で可否を確認するのが早道です。
- 農地・山林、採草放牧地など宅地として利用できない土地: ワケガイは「農地、山林はお取り扱いできません」と問い合わせフォームに明記し、公式FAQでも「宅地として利用できない土地は買取が難しい場合がある」としています。農地は農地法の許可も絡むため、農業委員会や自治体の窓口が近道です。
- 賃貸需要がまったく無いエリア、土地のみの物件: 公式FAQに「賃貸需要が全く無いエリアは買取が難しい場合がある」、問い合わせフォームに「対象エリアによって土地のみでの買取が行えない場合がある」と記載されています。
- 評価額が500万円に満たない物件: 広告主が本サイトに示している紹介条件では対象外です。固定資産税の納税通知書にある評価額を目安にしてください。
- 共有者と同居している: 同じく紹介条件で対象外です。持分だけを売っても居住の実態が変わらず、買い取った側が協議や再販を進めにくいためと考えられます。
このほかの条件は各社の公式サイトでご確認ください。本サイトの運営者は不動産業者ではなく、査定や買取の可否を判断する立場にありません。
共有持分の買取はどこに相談できるのか(ワケガイとラクウルの条件比較)
共有持分を対象物件に掲げ、公式ページで条件を公開している2社を同じ項目で並べました。共有者との紛争・所在不明・居住中といった持分特有の事情への対応は、ワケガイが公式FAQで個別に記載しています。
取得日時点で各社公式ページに記載のある項目だけを並べています。記載がない項目は「公式サイトでご確認ください」としました。
共有持分を対象にする業者7社を同じ項目で並べた比較は、共有持分の買取業者おすすめ7選にまとめています。
| 項目 | ワケガイ | ラクウル |
|---|---|---|
| 運営会社 | 株式会社ネクスウィル | 株式会社ネクサスプロパティマネジメント |
| 宅地建物取引業免許 | 国土交通大臣(1)第10481号 | 国土交通大臣(1)第10311号 |
| 対応エリア | 全国(公式表記「全国(47都道府県)買取可能」。「※例外はあります」の注記あり) | 全国(公式表記「全国の訳アリ不動産」。AI査定で47都道府県を選択可) |
| 拠点 | 東京本社(港区新橋)。大阪・名古屋・福岡・水戸・仙台・盛岡の各支店を運営会社サイトに掲載 | 東京本社(港区赤坂)、千葉支店、大阪支店 |
| 主な対象物件 | 共有持分・共有名義、空き家・ゴミ屋敷、再建築不可・借地・底地、事故物件、リースバック | 事故物件のほか再建築不可・共有持分・違反建築・旧耐震/築古・借地権・債務整理・長屋連棟・立ち退き・底地・紛争物件 |
| 相談手段 | 電話・メールフォーム(24時間受付、翌営業日までに返信と記載)・資料請求 | 電話・LINE・メール・不動産AI査定 |
| 電話受付時間 | 9:00〜18:00、定休日は日・祝・水(トップページの表記。問い合わせページには24時間受付の記載もあり、最新は公式サイトでご確認ください) | 7:00〜22:00 |
| 査定費用 | 無料(現地調査が必要な場合もエリアを問わず無料と記載) | 無料(一部対象外あり) |
| 査定から買取までの流れ | 相談・査定→物件調査→提案→買取の4ステップ。相談から3営業日以内に査定金額を提示、納得すれば最短で翌営業日に買取完了と記載 | 問い合わせ時に状況確認後、現地調査。立ち合いは必須ではない。現地調査後に査定金額を提示(最短当日) |
| 仲介手数料 | 不要(買取のため) | 0円(自社買取) |
| 買取後の売主責任 | 契約不適合責任は免責と記載 | 契約不適合責任は免除(公式表記) |
| 自分の持分だけの買取 | 可。他の共有者の同意は不要で、共有者に知られずに売却できると記載 | 共有持分を対象物件に掲げている。持分のみの買取条件の詳細は公式サイトでご確認ください |
| 共有者が居住中・賃貸中 | 居住者や入居者がいる状態でも持分のみの買取が可能と記載(公式FAQ) | 引き渡しまでの猶予やそのまま住み続ける提案が可能(公式FAQ) |
| 共有者と紛争中・所在不明 | トラブル中、裁判中、共有者が行方不明のいずれも買取可と記載(公式FAQ) | 紛争物件を対象物件に掲げている。詳細は公式サイトでご確認ください |
| 相続登記が済んでいない | 相談可。相続登記の完了を前提に先に契約でき、引き渡しは登記完了後(公式FAQ) | 相続前でも相談可(公式FAQ) |
| ローン残債・抵当権付き | 可。ただし残債が残る、抵当権者との協議が必要になる場合があると記載 | 債務整理を対象物件に掲げている。詳細は公式サイトでご確認ください |
| 書類が手元にない | 住所または地番が分かれば同社で調査すると記載 | 権利証や図面が揃っていなくても査定可(公式表記) |
| 士業との連携 | 弁護士・司法書士・税理士・土地家屋調査士と提携。持分売却以外の解決(専門家を交えた協議)も可、別途費用がかかる場合ありと記載 | 記載なし(相続手続きをまとめて対応、と記載) |
| 対象外の土地 | 農地・山林は取扱不可。田・畑・採草放牧地など宅地として利用できない土地、賃貸需要が全く無いエリアは買取が難しい場合あり。対象エリアによっては土地のみの買取不可 | 記載なし(公式サイトでご確認ください) |
買取価格は物件により異なります。公式ページに掲載されている買取事例の金額は個別のケースであり、同じ条件で同じ金額になることを示すものではありません。
ワケガイが向いている人
- 相続した実家が兄弟との共有のまま話が進まず、共有者に知られずに自分の持分だけ手放したい。
- 共有者と紛争中・裁判中、または共有者の所在が分からない。
- 相続登記が未了、ローンの残債や抵当権が残っている、書類が手元にない。
ラクウルが向いている人
- 共有持分に加えて、事故物件・再建築不可・借地権など別の事情が重なっている。
- 電話よりLINEやメールでやり取りしたい。まずAI査定で概算だけ見たい。
どちらか一方に絞る必要はありません。2社とも査定は無料と記載しているので、同じ情報で査定を依頼し、金額と根拠、売却後の共有者への対応方針を並べて比べるのが実務的です。
ラクウルの相談手順を確認したい方は、ラクウルの口コミ・評判と査定の流れもご覧ください。
持分を売る前に何に注意すべきか
持分の価格は割合どおりにならないこと、売却後に業者が他の共有者へ協議を持ちかけること、譲渡所得の税金、の3点です。
1. 持分の価格は「全体の価格×持分割合」にはならない
業者は他の共有者との協議や再販までの手間と費用を織り込んで価格を出すため、全体の市場価格に持分割合を掛けた額より低くなるのが一般的です。その差がどこから生まれているかを査定時に聞き、期限を切られてもその場で契約しないでください。ワケガイは「査定だけでも問題なく、買取に至らなくても費用はかからない」と公式FAQに記載しています。
2. 売却後、業者は他の共有者に連絡する
買い取った業者は、他の共有者に持分の買い取りや分割を持ちかけるのが通常です。ワケガイは「他の共有者や賃借人、その他関係者と誠意をもって協議する」と公式FAQに記載しています。家族や元配偶者に事後に知られることは前提に判断し、関係が断絶していないなら先に共有者へ打診する選択肢も残しておいてください。
3. 利益が出れば譲渡所得として課税される
持分を売って利益が出れば所得税・住民税の対象です。相続した空き家の譲渡所得の特別控除などの特例は要件があり、持分だけの売却で使えるかは税理士または税務署にご確認ください。
よくある質問
Q. 他の共有者に黙って自分の持分だけを売ることはできますか?
法律上、自分の持分の譲渡に他の共有者の同意は不要です。ワケガイは「共有者に知られずに売却できる」と公式ページに記載しています。ただし、買い取った業者は他の共有者に協議の連絡を取るのが通常なので、売却後に知られることは前提にしてください。
Q. 共有者が行方不明でも売れますか?
自分の持分だけなら売れます。ワケガイは「共有者が行方不明でも買取可」と公式FAQに記載しています。家全体を売りたい場合は、2023年4月施行の所在等不明共有者の持分取得・譲渡の制度(民法第262条の2・第262条の3)で裁判所の裁判を得る方法があります。弁護士・司法書士にご相談ください。
Q. 相続登記が終わっていなくても相談できますか?
できます。ワケガイは「相続登記の完了を前提に先に契約でき、引き渡しは登記完了後」、ラクウルは「相続前でも相談可」と記載しています。相続登記は2024年4月から義務化されているので、売る売らないにかかわらず先に進めてください。
Q. 持分の売却に費用はかかりますか?
2社とも査定は無料と記載しています(ラクウルは一部対象外あり)。ワケガイは「買取に至らなかった場合も費用は一切かからない」と公式FAQに記載しています。印紙代や持分移転登記の費用の負担区分は契約書で確認してください。
参考・取得日(一次情報)
- ワケガイ トップ(公式)取得日 2026-09-25
- ワケガイ 共有持分・共有名義買取・売却について(公式)取得日 2026-09-25
- ワケガイ よくあるご質問(公式)取得日 2026-09-25
- ワケガイについて(公式)取得日 2026-09-25
- ワケガイ 無料査定フォーム(公式・取扱不可条件の注記)取得日 2026-09-25
- 株式会社ネクスウィル 会社概要(運営会社公式・免許番号・拠点)取得日 2026-09-25
- ラクウル トップ(公式)取得日 2026-09-22
- ラクウル よくある質問(公式)取得日 2026-09-22
- e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)第249条〜第262条の3取得日 2026-09-25
参考: 取得日2026-09-25 のワケガイ公式ページ(wakegai.jp)と株式会社ネクスウィル会社概要(nexwill.co.jp)、取得日2026-09-22 のラクウル公式ページ(raku-uru.org)。各社の条件・サービス内容は変更されることがあります。申込前に公式サイトの最新情報をご確認ください。民法に関する記述はe-Gov法令検索の条文(2026-09-25時点)をもとにした概説であり、個別のケースへの適用は弁護士・司法書士などの専門家にご確認ください。